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■プロフィール

〇お話をうかがった荒木さんご一家

 荒木泰(とおる)さん/30代(医療関係者)

 荒木友梨(ゆり)さん/30代(子育て支援・保育士など)

 瑛(ひかる)くん/10歳(小5)

 優芽香(ゆめか)さん/8歳(小3)

〇移住したのは……

 2023年4月、東京から

〇移住の目的は……

 お子さん2人を伊那西小学校に転学させるため

〇現在のお住まいは……

 伊那西・ますみが丘

 事業用物件を賃貸(とても広い!)

〇物件を選んだ決め手は……

 伊那西小学校の学区内、景観、隣に森があるから

「ますみが丘」はこんな町

――荒木さんの住むますみが丘は移住者が多い、歴史の新しいエリアだそうですが、ご近所づきあいは?

友梨さん)学校の友達が遊びに来たり、お家に遊びに行ったりするぐらいで、ご近所とは挨拶するぐらいですね。

――地域の自治会には参加していますか?

友梨さん)たまたま東京に帰るタイミングに重なってばかりで、総会とかにも出られていなくて申し訳ないなと。

泰さん)だけど仕事場で話していても、「自治会に入らないなんて……」という空気はありますね。

泰さん)そう言えば、自治会にお金を払わないとゴミを捨てられない、というのにはびっくりしました。有料のゴミ袋を買っているんだから、それでいいじゃん!っていう感覚でしたけど……。

――自治会のなかにゴミの衛生担当者がいて、その人が掃除とか不法投棄のチェックとかをしてくれているから、という話ですよね。ほかに移住して困ったこととかはありますか?

友梨さん)私が東京の仕事も続けたくて車や高速バスで帰っているんですけど、月に何度も行き来するには遠くて。だから東京にちょっとしか行けなくなったのが「ちょっとなぁ」と思うぐらいですね。

あと、お店の営業終了時間が早い。夜7時になると、真っ暗で、誰もいない(笑)。急に何か買いたくなってもお店が閉まってしまうので。

伊那は誰でも馴染みやすい

――移住希望者に、移住先として伊那西を薦めますか?

泰さん)薦めます。もともと山好きですし。こっちの人は「こんな田舎によく来たね」って言いますけど、別に生活に困るほどではない。確かに車は必要ですけど、電車は使わないから駅が近くなくても構わない。

友梨さん)東京の国立の家まで車で2時間半で、そんなに遠くないし、伊那西は中央自動車道のインターからも近いので。

あと、東京から来ると、「こんなに安くていいの?」っていうことがいっぱいありますね。すごく安いお金で「こんなにイチゴ食べていいの!?」とか。野菜もそうだし、物価が違う。家でウサギとニワトリを飼っているので、卵は買わない生活です(笑)。

――だけど車社会だからガソリン代がかかりませんか?

泰さん)ガソリン代は確かに高いですね。

友梨さん)一人一台、車がないとどうにもならないのにね。でも、うちは東京で満タンにして帰って来るので(笑)。あと、上下水道は高く感じます。ガスもプロパンだし。

――ガスのインフラがつながっていないと、宅配になるんですよね。そうやって生活費や固定費を合計すると、意外と東京とあまり変わらなかったりしますよね。ただ、「ちょっとお茶して帰る」みたいに、お金を使うことが減る(笑)。

友梨さん)お店が遠いから(笑)。

泰さん)Uber Eatsもないし(笑)。

友梨さん)とはいえ、伊那はちょっと都会的というか、いろいろな人が集まっているから、誰でも馴染めるような気がします。

泰さん)本当に田舎暮らしをしたい人には、ちょっと街すぎるというか。そういう人には高遠とか新山のほうが合っていると思います。

いい大人がいっぱいいる

――伊那と東京で一番違うのは何だと思いますか?

友梨さん)伊那の人って、距離が近いんです。

衝撃的だったのは、子どもたちが学校で採ってきたタケノコを下処理しようと思って糠を買いに行ったら、お店になくて、お店の人に聞いていたら、その会話を聞いていたおばあちゃんが「うちにいっぱいある、持ってくるから待っとれ」って言って、持ってきてくれたんですよ! しかも「うちでつくった煮物だ」とか、ほかにもいっぱいいろいろなものをくれたり、「がんばってね」ってすごく言ってくれたり。「そんなことってあるの!?」「ていうか、誰?」って(笑)。

――田舎あるあるですね(笑)。

友梨さん)ほかにもニンジンをもらったり、家の前に野菜が置いてあったり……。あと、子どもを連れていると話しかけられる率が高いですよね(笑)。

泰さん)良くも悪くも距離が近いですよね。例えば、僕は病院に勤務しているんですけど、職員の近所の人が患者さんとして来るとか。東京ではそんなこと10年働いていて1回しかなかったのに、「あの患者さんはどこで何の仕事をしている」とか、全部つながっているんですよ。

――東京だと仕事とプライベートは完全に切り分けられるけど、地方では実際の知り合いとお金のやり取りをしたりして、仕事相手になるケースもありますよね。

泰さん)そうですね。だけどだからこそ、親身になってくれたり、世話を焼いてくれたりするのは、いいところですね。

友梨さん)謙虚な人たちが多いですよね。ぐいぐい来ない。

あとやっぱり伊那小効果は大きくて、移住者が多いので、ウェルカムな雰囲気があるというか。「よく来たね!」「困ったことがあったら何でも聞いて」って、わりとどこに行っても歓迎される感じがしますね。 それに、(農業や林業などの)プロの人がいっぱいいるのも面白い。上の子がそういうのが好きなので、学校の学歴だけじゃない生き方があるということを教えてあげたいです。「格好いい大人がいっぱいいるよ」って。いろいろな人とつながりたいですね。

■聞き手・構成:岡澤浩太郎

►八燿堂: www.mahora-book.com

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