平沢
水が豊かで、人が優しい。
まるで日本の原風景。
小沢川による河岸段丘のため、伊那西地区の中で最も集落内の高低差が大きな平沢。歴史がある集落で、伝統的な祭事や地区行事を受け継ぎながら、住民たちが親睦を深めています。一方で、国内外から農家⺠泊や農業体験に訪れる人たちを多く受け入れてもいて、昔も今も、人と文化が豊かに交わる土地です。
平沢の ところ
小沢川の河岸段丘が織りなすなつかしい里山風景。
伊那と木曽を結ぶ権兵衛峠周辺を源流に、伊那市街地の天竜川へと流れていく小沢川。この清流と豊かな湧水が平沢地区の大切な宝です。古くから米作りが盛んで、江戸時代には権兵衛峠を越えて木曽谷への米の輸送拠点として栄えました。
昔ながらの集落が川沿いに広がり、代々受け継がれている家がほとんどです。分家によって同じ苗字の家が多く、現在は40戸ほどが暮らしています。長野県内でも非常に珍しい茅葺き屋根の家や古民家が数軒残っており、広々とした田んぼや畑が広がる風景は実にのどかで風情があります。少子・高齢化が進んでいますが、時々Uターンや移住者も入り、河岸段丘を登っていく高台エリアに新しい家が少しずつ増えています。
平沢は歴史ある集落で、助け合いが必須な稲作が中心だったこともあり、昔から地域交流が盛んです。
1955年(昭和30年)には平沢区内独自の有線放送を設置し、今なお公民館と各家庭を結ぶ連絡手段として現役で活躍しています。平沢区は5組に分かれており、ほどよい近所付き合いが残っています。 今はほとんどが兼業農家で、会社員や公務員などで伊那市街などに通勤している人が大半。そこで兼業農家の畑を専業の方が手伝うなど、日常的な支え合いが息づいています。また、伝統行事や祭り、マレットゴルフや収穫祭といった交流イベントを継承しながら住民同士の親睦を深めています。
集落は伊那西部広域農道から県道443号内ノ萱伊那線(権兵衛街道)を西に進んだ先にあります。小黒川スマートインターから車で約5分、市街地からは車で約10分でアクセスできます。
平沢での 暮らし
米、野菜、山菜、魚釣り。
おいしい恵みがたくさん!
きれいな水が豊富な平沢。おいしいお米はもちろんのこと、野菜も豊かに実ります。田んぼや畑は川沿いが中心ですが、山の斜面では春にはたけのこや山菜採りができ、秋にはきのこ狩りができます。あちこちに湧き水が出ているので、わさびの栽培を手掛ける人もいます。もちろん小沢川では渓流釣りも楽しめます。
平沢では一日中、川や水路の水音がBGMです。初夏にはホタルが舞い、大きな道路から奥まった谷間の集落のため夜空の星がとてもきれいです。集落内の道路は県道ですが、今は木曽に抜ける別の国道が整備されているため、住民以外の車が入り込んでくることも少なく、静かに穏やかに暮らすことができます。
代々伝わる土地や家が多いため、移住希望の方に提供できる住まいは多くありませんが、タイミングよく空き家が見つかれば移住ウェルカムです。
平沢はみんな親戚か顔見知りという小さな集落ですが、外に対して排他的な雰囲気はまったくありません。昔から農家民泊や農業体験の場として、県外からの小中学生の修学旅行を受け入れたり、外国人旅行者を多く迎え入れています。そのため、山に近い奥まった集落ながらも、どこか開放的で風通しの良さがあります。
自然環境が比較的穏やかなため、農業を始めたい人にも向いています。野菜のおすそ分けや、伝統料理のレシピの教え合いなど、暮らしの知恵を後世につないでいくことが自然と行われています。
平沢の どころ
平沢御柱祭
7年に一度、白髭神社で開催される特別なお祭り。「よいさ!よいさ!」の掛け声と共に里曳きや建御柱が行われ、厳かで神聖な空気の中に子どもたちの楽しそうな声が響き渡ります。
お釈迦様祭り
釈迦入滅の2月15日に合わせて区が主催。寺院との直接的な関わりはなく、読経を上げない珍しい行事。涅槃図の説明を聞き、線香を上げる。
やしょうま
米粉を練って着色した花餅。餅の切り口にヒマワリやイチゴなどの絵柄が現れる。お釈迦様祭りで甘茶と一緒にふるまわれる。
櫃岩
自然が作り出した奇妙な土柱。砂と小石の地層が雨などで浸食してできた大変珍しいもの。江戸時代に岩の上に飯びつを置いて境界を測ったことが名の由来。重量はおよそ4トン。
平沢に暮らす人
私が生まれ育った平沢は、権兵衛峠の麓にあり、小沢川の両岸の平地と河岸段丘上に広がる起伏ある地形が特徴です。カラマツ林と広葉樹が豊かなグリーンベルトを織りなす山林、のどかな田園・農村地帯に古民家が残る様子は、「古きよき里山」「日本の原風景」という表現がぴったりです。春は桜や山菜、夏は渓流釣りや虫取り、秋は美しい紅葉が楽しめます。黄金色の田んぼ越しに雄大な南アルプスを望む景観も素敵ですね。
平沢は、谷底にあり周囲を林に囲まれているため、台風が来ても風は穏やかです。市街地に比べ冬は気温が低く雪も積もりますが、それでも20cm程度です。山が近いわりには一年を通じて暮らしやすく、小沢川や湧水に恵まれていることから、稲作などの農業も盛んです。初夏、水田には蛍が舞うこともあり、夜にはカエルの合唱が聞こえてきます。
地区内には店舗がないため、買い物は地区外へ行く必要があります。とはいえ車で数分の中の原にはコンビニがあり、大型スーパーまで10分ほどの距離ですので、自家用車があればほとんど不便は感じません。伊那西小学校までは約2kmあり、子どもたちは歩いて登下校しています。私が子どもの頃は、友だちと道草しながら帰るのが楽しかったですね。今は、時期によって保護者が車で送迎することもあります。
2022年春、白髭神社で7年ぶりに平沢御柱祭が行われました。子どもから大人まで住民がひとつになって御神木を曳き、とても楽しくにぎやかでした。他にも毎年2月にはお釈迦様を供養する伝統行事、夏休みには子ども会の行事、秋には収穫祭などを開催するなど、小さい集落ながらも、地域住民が協力して伝統やつながりを大切に守っていると感じます。
自然に親しむ子育てをしたい方、渓流釣りや山菜採りが好きな方、農業体験や就農をしたい方、日本の原風景を感じたい方は、ぜひ一度、平沢に遊びにきてください。お待ちしています。